歪み真珠

美的感覚とは嫌悪の集積である。

wonderful life


朝から調子が悪い。職場の人にもしんどそうねと気遣われる。休日の間の宙ぶらりんな月曜日に半休をとり職場を出る。ひどく暖かい。飲み屋さんが昼から開いている。あぁビール飲みたいなと思う。調子が悪いなんてどこの誰の言葉かしら。昼間からビールと串カツを食べたいと思う人間のどこが悪いと言うのだろう。自分の調子の良さと怠惰な精神に呆れつつ、このだらしなさが私だと、半ば誇りにも似た気持ちとたわむれながら梅田に向かう。そして結局、日当たりのいいお店でビールを飲みながらポテトをつまむ。

週末恋人が自宅にやって来た。お菓子作りに縁がないため、バレンタインは私の自宅で食べる手料理がその代わりであった。お付き合いしてから私の両親に会うのははじめて。彼を駅に迎えに行くと、緊張した面持ちで、修論発表よりこわいと言っていた。私が彼の自宅にお邪魔したときの緊張を思い出しながら、少し意地悪な気持ちで根拠のない励ましの言葉を送ってあげる。
母は張り切りすぎて、ワインを5本も用意していた。お料理はとても喜んでもらた。いつも彼に作ってもらってばかりだったけれど、やれば出来る女であることをわかっていただけたかしら…おほほ。献立は以下の通り。
・菊菜のサラダ
・アスパラガスのチーズ焼き
手羽先の名古屋揚げ
ペンネのタラコあえ
・しめ鯖と鰆のお刺身
もちろん一番下のお刺身は彼作。菊菜のサラダは彼の大好きな私の手料理だ。菊菜を生で食べるこのレシピは、どこに持って行っても喜んでもらえる。
食事を終え、私の部屋にあがる。好きな人が自宅で両親と楽しく会話してくれたという事実と単なる飲みすぎとでしたたかに酔っぱらった。彼は緊張が解けたのか、二人で23:30ごろまでぐーすか寝てしまった。何とか終電に間に合ったけれど。翌日の日曜日、私は久しぶりの二日酔いに襲われ白湯とビタミン剤をがぶ飲みし、ベッドの中でごろごろ本を読んで過ごした。彼は知恵熱が出たらしい。よほど緊張していたのだろう。
私の父はなかなか迫力のある見た目をしている。背は低いが、大学生時代の柔道のおかげでいわゆるガチムチ体型。母は熊さんみたいでかわいいと言っている。どこが?そしてスキンヘッド。極めつけは耳、そう潰れているのです。私はそんな父の風貌を当たり前のものとして育ったが、小学6年生の参観日のとき、父を見て「ヤバイやつおる」と話す同級生を見て色々と悟ったのだった。恋人も例に漏れず、父と会う前から「僕はクマに八つ裂きにされるんだ…」と怯えていた。
私は彼ことをやや過小評価しているきらいがある。コミュニケーション能力不足甚だしい人だと思っていたが、そうでもないらしい。あの強面の父の相手をよくしてくれたものだと思う。お疲れさまでした。

 

少し酔いが回ってきた。長らく放ったらかしにしていたfilmarksのアカウントを動かそうと思う。すばらしき世界の感想を書きたい。今回のブログの題は無名のつもりだったけど、そうねぇwonderful lifeなんて大仰な題にしてしまおうか。キャプラ監督の方じゃなくて、クストリッツァ監督の方で。好きな人が自宅に来てくれた、半休をとって日当たりのいい席でビールを飲む。明日、彼の体調が良ければデートする。that's wonderful life!f:id:lecollierdeperles:20210222165828j:image