歪み真珠

美的感覚とは嫌悪の集積である。

苦い毒、甘い薬

土曜日。調べ物をするために図書館に行く。街を歩くと白い木蓮が咲いていた。面白いことに気づく。東側の木蓮は満開なのに西側は全然だ。植物には太陽の恵みが不可欠なのだ。そのままミスドに向かう。ミスドはいい。何より珈琲がおかわり自由だ。ポン・デ・リングとオールドファッションが好きだ。梅田のekimoにミスドが出来ていると気づいたときは嬉しかった。

ここ数週間よくよく疲れる。お仕事。昨日は久しぶりに職場で泣いてしまった。私に言われてもどうしようもないことについて口煩く言われる。同じ雇用形態の人に文句を言われようと私は堂々としていられる。専門職ということもあり、この分野に関しては私の言うことを聞きなさいよ、と非常に図々しい気持ちで仕事をしている。けれど、パートの現場の人に文句を言われると弱い。なぜなら彼女たちの言い分はある程度理がかなっているから。そして彼女たち自身も自分が間違ってないことを知っている。だからだろう、滔々とわたしの前で正論を振り回す。

事情を呑んでいる間に生涯
費やしそうで

林檎嬢の労働者の歌詞がよぎる。思わずマスクの下で口ずさむ。ほんとうにそうねぇ、と長いため息が出る。物語は役に立たない。けれど、時々ふっと助けてくれる。たとえばこんなときに。
あぁ疲れた。みんな上が言うからと応える、そしてその上はさらに上が言うからと。マキャヴェリが読みたくなった。

悪いのは何奴だ
顔見せな

割りを食うのはいつも現場だ。その意味が彼女たちを見ていて感じる。この世界は確かに、ルールを作るやつが強いらしい。

ああせっかくお休みの日なのに沸々と怒りが湧いてくる。やめよう。

テラス席で本を読む。お日様というのは偉大だ。詳しいことは知らないが、きっとおひさまに当たると人はオキシトシンが分泌されるんじゃなかろうか。恨みつらみが融解してゆく。まだ借りた本を読み終わっていないのにまた新しく本を借りる。ラヴレターズ。恋愛のオムニバス。メンバーがいい。西川美和監督もいるし、二階堂ふみちゃんも、姫野カオルコさんもいる。ドーナツをかじりながら読む。


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