歪み真珠

美的感覚とは嫌悪の集積である。

毎朝芍薬を揉みほぐしている

雨の日の朝はコーヒーが飲みたくなる。雨の日であっても、休日はコーヒー欲が高くはないが、仕事のある雨の日は必ず飲みたくなる。薄くてマイルドなものではなくて、村上春樹が言うところの『真夜中の悪魔のような珈琲』が飲みたくなるのだ。いつもなら午後に眠気覚ましもかねて飲むところを雨の日は午前中からコーヒーを淹れる。昨日はバナナ味のアルフォートをお茶請けにした。通勤中、常備しているドリップバッグを切らしていることに気づき、職場の最寄りのコンビニで買っていった。いつも飲んでいるものよりお高いそのドリップバッグはお値段のことはあり、いつもより美味しかった。

5月らしい気持ちの良い天気が2日ほど続いた。そんなお天気のいい朝、職場の人に「今朝は気持ちがいいですね」と話しかけられた。ええ、ほんとうに。ずっとああいう涼やかな気候が続けばいいのに。


1Q84を読み終えた。私がこの物語をbook2でおしまいだと思ったのはあながち的外れなことではなかったようですよ。book2で終わりだと思っていたけど、book3も書いてみたくなった、と作者本人が語っていたので。よかった。今はかの物語の余韻にひたって生活している。ちょうどソムリエが舌でワインをころがして味わうように。
物語のはじまりはトヨタのクラウンだったか。車に明るくないのでよく覚えていないが、トヨタの中ではハイクラスで静かな車らしい。今でいうレクサスのようなものかしら。車内で流れるヤナーチェクシンフォニエッタ。運転手の言外に含みを持たせた話し方。物語のはじまりの舞台として完璧だったなぁと思う。
物語の中で起きた出来事ひとつひとつをふりかえって見てみると、遠くて長い旅を終えたような気分になる。椎名林檎の長く短い祭の歌詞にあるような「思えば遠くへ来たものだ」という甘いため息のまじったセリフが頭に浮かぶ。
図書館で借りた本だったが、手元に残しておきたくなった。楽天のお買い物マラソンが始まったら購入しようと思う。いつでも手に取れるようにしておきたい。


先週末に買った4本の芍薬がそろそろと開きだしている。芍薬は休日も一部営業再開した阪急百貨店の日比谷花壇で購入した。ここのお花は丈夫で綺麗だ。店員さんのアドバイス通り、毎朝蕾をもみほぐし、蜜をぬぐっている。